SDカードや小型USBメモリの障害は一見「ランダム」に見えますが、実際には多くが書き込み起因です。新しい写真の保存、自動保存、クイックフォーマットの試行、さらに同じカードへ復元結果を書き戻す行為は、まだ復元可能だったクラスタを上書きし得ます。Recuvaが扱えるのはフラッシュ上に残っているデータだけです。被害拡大を止めるのは利用者側の動きです。
この記事は現場向けチェックリストです。最初の数分で何をするか、どのリーダー/ポートを選ぶか、どこへ復元するか、そして「このカードはもう初期化してよい」と判断する前にコピーをどう検証するかを整理しています。本サイトのワークフローページを補完する内容で、Windows上の一般的なデータ消失ケースを前提にしています(物理破損カードのフォレンジック案件は対象外)。
手順1: 直ちにカード使用を停止する
データが重要なら、実運用上はカードを読み取り専用として扱ってください。新規撮影をしない、アプリにキャッシュを書かせない、「同じメディアにファームウェアツールを急いで再インストールする」といった行為を避ける、そして取得できるデータを検証済みでコピーする前にchkdsk系修復を走らせない、という意味です。
特にスマートフォンは危険です。カメラアプリのバックグラウンド動作、クラウドギャラリー同期、メッセージアプリなどが気づかない書き込みを発生させます。可能ならカードを取り外し、安定したカードリーダーを備えたPCで作業してください。
手順2: ハードウェア経路を安定させる
接続が不安定だと、スキャン中に切断が発生し、時間を浪費したうえで中途半端な書き出しが残ります。動作実績のあるリーダー、短いケーブル、可能ならマザーボード背面USBポートを優先してください。ハブを使う場合、HDDや大容量カードでは外部給電ハブが望ましく、SDカード中心の小規模作業でも「USB 3」表記より接続安定性を重視すべきです。
- カードの接点に触れないよう、樹脂ボディを持って扱う。
- リーダーが熱を持つ、またはOSで再接続を繰り返すなら、スキャン前に先に対処する。
- 作業台が混み合う環境では、取り違え防止のためリーダーとケーブルにラベルを付ける。
手順3: 復元先はPCディスクにする(カードへ戻さない)
典型的な失敗は、スキャン対象と同じボリュームへ復元することです。読み取りと書き込みが交錯し、救出したいクラスタを自ら破壊する恐れがあります。十分な空き容量がある内蔵ディスク、または別の外付けディスクを復元先にし、作業専用フォルダを作ってハッシュ確認やスポットチェックを行ってください。
容量が厳しい場合は優先度順に段階復元します。まず小さく重要な文書、その後に大きなメディアです。写真では、ツールが対応していればJPEGとRAWを分けて書き出すと有効です。ブラウザサムネイルが2万件並ぶ状況は、作業効率を著しく下げます。
手順4: 検証後にフォーマット可否を判断する
再利用のためにカードをフォーマットする検討は、重要ファイルを実際に開いてバックアップを確認してから行ってください。カードに不安要素(SMART類似ツールでの不良セクタ多発、繰り返す破損、容量表示の急変など)があるなら、長期保存媒体ではなく交換前提の消耗品として扱うべきです。